嶋足に蝦夷

2人は海に投げ出された。天鈴の腕の凄さに驚いたのは敵ばかりではなかった。飛良子は溜め息を吐いた。相手が未熟過ぎるとは言え、天鈴の攻撃にはまったく薦跨というものがない。しかも万の刃こぼれを案じて無駄なとどめをささない。海に投げ出、宿アラすだけで10分なのである。剣先だけで胴巻を切り裂いたのも脂が万につかぬような配慮であろう。3人も斬れば万が役立たなくなるものだが、今の攻撃なら鞘から抜いたばかりと一緒だ。最初に倒した相手でさえ、天鈴は柔らかな首筋を襲っている。それを見届けたのは少ないはずだが、間違いない。俺ばかりではあとで文句が出ょう天鈴は3人で満足したらしく後退した。息が乱れていない。無駄な動きをしなかった証拠だ。この闇夜でこれほどの攻めができる者など滅多に居ない。飛良手は舌を巻いた。感服いたしました飛良子は言って天鈴と交替に前へ出た。年寄りであれだ。まだやるか?伊佐西古は笑って敵に言った。阿豆流為と母礼は様子を見守っている。残る敵の数は10人に満たない。伊佐西古、飛良子、猛比古だけで間に合う。敵がいっせいに襲いかかった。伊佐西古らは余裕で防いだ。いずれも頭上からの矢を気にしながら数10倍の敵と戦場で戦っている。

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