内裏などを坂上麻呂
上がって眺めるだけだ。銭を掴ませればなんとでもなろう。駄目なら諦める酔いの勢いも手伝って伊佐西古は母礼の引き止めも無視して歩き出した。阿豆流為たちも仕方なく続いた。興味がないでもない。あの高い楼門に上がれば都を1望できる。あき呆れたものだな並びながら母礼は阿豆流為に苦笑した。身を隠すどころか、門衛に銭を摺ませて羅城門に上がろうとするとは伊佐西古はここがどこであるのか気にもならぬらしいゆえにこそ門衛もまさか蝦夷の棟梁の一人であるとは思わぬに違いないいかにも、と母礼は阿豆流為の言葉に同意した。飛良手と猛比古もにやにやとする。さす敵れた羅門城の門向はこ朝う需与にに畑包がま広れがてついてたる美。し丹に塗ぬりの柱がしっとりと汗を掻かて鮮やかだ開け放た宿門を潜り抜けることは自由なので、6人の門衛たちも接近する阿豆流為たちに特に不審の目は注がない。眠そうな顔をして畑の方角を眺めていひたちるだけだ。我らは常陸より先頃都に参った者だがの伊佐西古の大声に2人が振り向いた。田舎への土産話に門へ上がってみたいいかん門衛の一人が即座に返した。そこを頼まれてくれぬか。礼はする来る。臆せずに伊佐西古は笑って、めった2度とは来れん都じやろう。